特許出願ねっと!TOP > 特許申請ブログ - 特許申請から国際特許など > 2010年2月
特許法では、「産業上利用することができる発明をした者は、新規性のない発明を除き、
その発明について特許を受けることができる」(特許法29条1項柱書)とあります。
このように、保護対象の発明には『産業上の利用可能性』がなければなりません。
ここでいう産業とはどういうものか、また特許を受けることができるための
「産業上の利用可能性」を備える発明に該当するもの、該当しないものとは
どういうものでしょう。
単に学術的・実験的にしか利用できない発明は産業の発達という法目的からして保護に値
しません。
このため、特許を受けることができる発明であるためには、産業として実施できることが
必要となります。
ここで、「産業」とは、製造業以外の、鉱業、農業、漁業、運輸業、通信業、サービス業など
生産業だけでなく、生産を伴わない産業も含めた広い意味での産業を意味します。
●発明の成立要件
発明は、以下の全ての要件を満たしたときに成立します。
(1)自然法則を利用していること
自然法則の利用については、前回のブログ記事を参照ください。
(2)技術的思想であること
「技術」とは、一定の目的を達成するための具体的手段であって、実際に利用でき、知識として客観的に伝達できるものをいいます。個人の熟練により得られる技能とは異なります。技術内容は、当業者であればこれを反復実施して目的とする技術効果を上げる程度にまで具体化され、客観化されたものでなければならないとされています。したがって、フォークボールの投球方法等の個人の技能によるものや、絵画や彫刻などの単なる美的創作物、機械の操作方法についてのマニュアル等の単なる情報の提示は技術的思想に該当しません。また、ソフトウエア関連発明も一般には技術的思想でないものとされますが、ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている場合、当該ソフトウエアは、自然法則を利用した技術的思想の創作に該当することになります。電子マネー等が例示されます。
(3)創作であること
創作とは、新しいことを創り出すこと、自明でないことをいます。何も作り出さない発見とは区別されます。したがって、天然物の単なる発見などは、発明に該当しませんが、天然物から人為的に単離精製した化学物質は発明に該当します。
(4)高度なものであること
「高度なもの」は、主として実用新案法の考案と区別するためのものであるため、発明に該当するかどうかの判断に当たっては考慮する必要はありません。従来にない新しい機能を発揮するもので産業上の利用価値があれば、既存技術の改良であっても発明に該当します。