特許出願ねっと! (
2010年3月18日 22:04)
●産業として実施できるものに該当しないもの
特許法の審査基準によれば、「産業上利用することができる発明」に該当しないものの類型を示しています。
それによれば、以下の発明は産業として実施できるものに該当しないものに挙げられています。
(1)人間を手術、治療又は診断する方法の医療行為関連発明
医療行為自体(人間の治療方法等)は産業として実施できるものに該当しないとされています。これは、治療方法等の発明は、人道上人類のために広く開放すべきであり、医療行為自体は医師が行うべきとの理由によります。
これに対し、医療機器や医療装置、医薬自体は『物』に該当し、特許の対象になります。
ところで、医療行為については、国によって考え方が異なっています。
例えば、米国では、医療行為自体が特許の対象として認められています。
一方、欧州では、治療方法等が特許の対象にはならないとされています。
現在日本では、治療方法について特許の対象にすべきとの議論もあり、近い将来に保護対象とされる可能性もあります。
また、再生医療や遺伝子治療は、ヒト由来の細胞・組織等を用いることから治療法と解釈されそうですが、
特許庁の審査基準では、治療法等に該当しないとされています。なお、動物の治療法等は特許の対象と認められます。
(2)その発明が業として利用できない発明
業として利用できない発明の場合は、市販又は営業の可能性がなく、産業の発達に貢献することもないため、産業上の利用可能性が認められません。
具体例としては、以下の二つが挙げられます。
(ⅰ)喫煙方法のように、個人的にのみ利用される発明
ただし、美容業において「髪にウエイブをかける方法」は、産業上の利用可能性ありとされています。
(ⅱ)学術的、実験的にのみ利用される発明
ただし、学校で使用される「理科の実験セット」は、産業上の利用可能性ありとされています。
(3)実際上、明らかに実施できない発明
実施できなければ産業の発達には何ら貢献することがなく、産業上の利用可能性が認められません。
これに該当する発明としては、オゾン層の減少に伴う紫外線の増加を防ぐために、地球表面全体を紫外線吸収プラスチックフィルムで覆う方法等が挙げられます。