特許出願ねっと!TOP > 特許申請ブログ - 特許申請から国際特許など > 特許制度
●発明の成立要件
発明は、以下の全ての要件を満たしたときに成立します。
(1)自然法則を利用していること
自然法則の利用については、前回のブログ記事を参照ください。
(2)技術的思想であること
「技術」とは、一定の目的を達成するための具体的手段であって、実際に利用でき、知識として客観的に伝達できるものをいいます。個人の熟練により得られる技能とは異なります。技術内容は、当業者であればこれを反復実施して目的とする技術効果を上げる程度にまで具体化され、客観化されたものでなければならないとされています。したがって、フォークボールの投球方法等の個人の技能によるものや、絵画や彫刻などの単なる美的創作物、機械の操作方法についてのマニュアル等の単なる情報の提示は技術的思想に該当しません。また、ソフトウエア関連発明も一般には技術的思想でないものとされますが、ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている場合、当該ソフトウエアは、自然法則を利用した技術的思想の創作に該当することになります。電子マネー等が例示されます。
(3)創作であること
創作とは、新しいことを創り出すこと、自明でないことをいます。何も作り出さない発見とは区別されます。したがって、天然物の単なる発見などは、発明に該当しませんが、天然物から人為的に単離精製した化学物質は発明に該当します。
(4)高度なものであること
「高度なもの」は、主として実用新案法の考案と区別するためのものであるため、発明に該当するかどうかの判断に当たっては考慮する必要はありません。従来にない新しい機能を発揮するもので産業上の利用価値があれば、既存技術の改良であっても発明に該当します。
新年あけましておめでとうございます。
本年も、特許出願ねっと!をよろしくお願い申し上げます。
このブログでは、さまざまな特許出願・申請に関する情報をお届けします。
メルマガその他のメディアで提供したものもこちらで再確認の意味で書いていきます。
さて、今回は、特許とはそもそも何なのか、についてお話しします。
■ 特許とは?
特許法第1条には、「この法律は、発明の保護及び利用を図ることに
より、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする」と
また、特許法第2条には、「発明」とは自然法則を利用した技術的思想の
創作のうち高度のもの、と定義されています。
発明は、法上定義されるように目に見えない技術的な思想ですので、
構造に特徴のある機械や車のような有体物のように、
目に見える形でそれを人が占有し、事実上の支配ができるものでは
ありません。
したがって、特別な制度によって適切に保護されなければ、
発明者は、自分の発明を他人に盗まれないように、秘密にしておこうと
する(発明の秘蔵化を招く)でしょう。
しかしそれでは、発明者自身もそれを有効活用できないばかりでなく、
他の人が同じものを発明しようとして無駄な(重複した)研究・投資を
することとなってしまいます。
そこで、特許制度は、こういった弊害が起こらないように、
一定の条件のもとに一定期間発明者に特許権という独占的な権利を
与えて発明の保護を図る一方、その発明を公開して利用を図ることにより
新しい技術を人類共通の財産としていくことを定めて、
これにより技術の進歩を促進し、産業の発達に寄与しよう
というものです。
特許制度では、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち
高度のものを保護の対象とします。
したがって、遊戯方法などの人為的な取り決めや計算方法など
自然法則でないもの、永久機関などの自然法則に反するものは
保護の対象とはなりません。
また、技術的思想の創作ですから、自然法則自体
(エネルギー保存の法則等)は保護の対象外です。
さらに、この創作は、高度のものである必要があり、
技術水準の低い創作は特許で保護されません。
(この点、同じ技術的思想の創作としての、物品の形状、構造又は
組合せに係る考案は、高度性を必要としない実用新案制度によって
保護されます。)