特許出願ねっと!TOP > 特許申請ブログ - 特許申請から国際特許など > 特許制度
●ビジネスモデル特許とは
ビジネスモデル特許は、ビジネス方法(ビジネスメソッド)の特許のことをいい、ビジネスの仕組み・ビジネス方法に関する特許を意味すると捉えるとよいでしょう。
ここでいうビジネスモデルとは、IT(情報技術)分野や、経営・経済学その他の分野におけるビジネスモデルと呼ばれるものとは意味が少し異なります。
一般には、ビジネスモデルとは、利益を生むビジネス、お金を稼ぐことのできるビジネスの仕組みのような意味で用いられているようですが、ビジネスモデル特許にいうところのビジネスモデルとは単に前記の意味をいいます。
ビジネスモデル特許は、ビジネスの仕組み・方法についての特許であることを前提としつつ、日本では、この特許が欧米諸国から遅れて一時ブームのようになりましたが、一般にはビジネスモデル特許は、通常の特許に対して特殊なもので、特許が認められにくいとされています。
その理由は、そもそもビジネスの方法そのものは、特許の対象とされておらず、そのビジネス方法にコンピュータ(ハードウエア)が介在してそれと協働することにより初めて特許の対象となる、とされています(特許審査基準)。
どういうことか、よくわかりにくいと思いますが、要するに、インターネットビジネスのように、コンピュータを使って取引するビジネスモデルで、それに新規性などの要件を満たせば特許の対象となるのです。
●新規性がなくても例外的に救済される場合がある
学会での発表、業界誌等の刊行物への発表や、博覧会への出展等により、
その発明の新規性が失われた場合には、一定の条件のもとに例外的に救済を
受けることができます。これを、発明の新規性喪失の例外といわれます。
特許法は、新規発明公開の代償として特許権を与えるために、新規性を
特許要件の一つとしています。
しかし、新規性のない発明のすべてについて特許を受けることができない
とすれば、発明保護の観点から具体的妥当性に欠けることもあります。
刊行物に発表した発明などは、早期に公開することによって技術の進歩や
研究の発展に貢献するので、保護に値します。このため、特許出願人を保護
するため、第三者に不測の不利益を与えない範囲で、発明の新規性喪失の例外
が認められています(特許法30条)。
●どの時点で新規性がないとされるのか〔時期的な基準〕
特許出願の時を基準として判断されます。発明の時を基準にするとその時の決定が困難で、発明を秘密化をまねくおそれがあり、公開時を基準にすると公開の立証等が必要になり不便だからです。日だけではなく、時分も問題になります。ある日の午前中に同じ発明が学会等で発表され、午後に出願しても新規性なしで拒絶されます。
●発明の新規性の喪失に例外がある
発明の新規性の要件については、発明保護の観点から、公衆に不測の不利益を与えない一定の範囲で、発明の新規性の喪失の例外が認められています(次項参照)。
特許要件のひとつ:新規性について
特許を受けることができる発明は、今までにない新しいものでなければ
なりません。すでに公開されて誰でも知っているような発明は何ら新しい
技術を提供するものではありません。
これに特許権という独占権を与えることは、社会にとって利益にならず、
新規発明公開の代償として特許権を与えることにより産業の発達に貢献する
という法目的をかえって阻害することになるからです。
前述したように、特許法では、新規性のない発明を除き特許を受けることが
できる(特許法29条1項柱書)と規定され、この新規性のない発明について
3つが列挙されています(同項1~3号)。
それは、(1)公然知らせた発明、(2)公然実施をされた発明、
(3)頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に
利用可能となった発明、の3つです。
言い換えれば、これらの発明に該当しないと認められれば、新規性がある
発明と言えるのです。
特許法では、「産業上利用することができる発明をした者は、新規性のない発明を除き、
その発明について特許を受けることができる」(特許法29条1項柱書)とあります。
このように、保護対象の発明には『産業上の利用可能性』がなければなりません。
ここでいう産業とはどういうものか、また特許を受けることができるための
「産業上の利用可能性」を備える発明に該当するもの、該当しないものとは
どういうものでしょう。
単に学術的・実験的にしか利用できない発明は産業の発達という法目的からして保護に値
しません。
このため、特許を受けることができる発明であるためには、産業として実施できることが
必要となります。
ここで、「産業」とは、製造業以外の、鉱業、農業、漁業、運輸業、通信業、サービス業など
生産業だけでなく、生産を伴わない産業も含めた広い意味での産業を意味します。