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●実用新案制度の主な内容(登録後)
特許出願は、早期審査制度を利用する場合を除き、原則審査請求をして1年半程度
かかって出願の審査がはじまります。その後特許庁からの通知などの対応があり、
特許(登録)までにずいぶんと時間がかかります。これに対し、実用新案の場合は
早期登録制度で実体審査がないので、出願から2~3ヶ月で登録されます。さて、
実用新案が登録されると、権利(実用新案権)が発生します。この権利の特徴は
以下の通りです。
(1)権利の存続期間
実用新案権の存続期間は出願日から10年です。
ライフサイクルの短い商品や、模倣され易い製品などは、実体審査を経ずに
早期登録を受けることで速やかに考案を保護することが重要です。
なお、実用新案登録は実体審査なしにされますので、新規性や先願などの
登録要件を満たしていないと無効理由とされてしまいます。
(2)実用新案登録に係る書類の訂正
実用新案権者は設定登録後でも実用新案登録請求の範囲・明細書・図面を
1回のみ訂正することができます。請求項の削除ならば、何度でも訂正できます。
(3)権利行使の際の評価書提示義務
本来無効である実用新案登録も存在するため、実用新案権を行使する際には、
実用新案技術評価書を提示して警告をする必要があります。
実用新案技術評価書は考案の新規性・進歩性などを評価するもので、誰でも
特許庁長官に対して請求できます。一方、誰でも実用新案登録無効審判を
請求できます。警告や権利行使をした後に、その実用新案登録が無効になった
場合、実用新案権者は相手方に対して損害賠償責任を負うことになります。
(4)その他実用新案特有の制度
実用新案登録に基づく特許出願として一定期間内に実用新案登録を特許出願に
変更することができます。この場合、新規性などの判断は変更出願日基準と
なります。
●現行の実用新案制度
特許制度の保護対象の発明まではいかないけど、日常生活に役立つような
ちょっとした工夫・小発明は、実用新案制度・実用新案法で保護されます。
実用新案制度はかつて特許制度とほぼ同様の制度でしたが、平成5年法改正(1993年公布、翌年施行)によって大幅に変更されました。現行制度は、実体審査を経ることなしに早期に登録される点が最も大きな特徴です。
●実用新案制度の主な内容(登録前)
(1)実用新案法の保護対象
実用新案法の保護対象は「物品の形状、構造または組合せに係る考案」です。
考案とは「自然法則を利用した技術的思想の創作」です(実2条1項)。
「考案」の定義には「高度のもの」がない点で、特許法の保護対象たる
「発明」と異なります。また、「形状、構造または組合せに係る」とあるので、
化学物質、組成物、動植物品種、コンピュータプログラム自体は登録できません。
(2)実用新案登録を受けるための要件
実用新案登録の要件は、産業上利用できる考案であること、新規性、進歩性
(特許法の進歩性より緩やか)を備えること、先願に係る考案であることなどです。
(3)出願から登録まで
実用新案登録を出願する際、願書、明細書、実用新案登録請求の範囲、図面、
要約書を特許庁長官に提出する必要があります。特許出願とは異なり、図面は
必須書面となります。出願すると、公序良俗に反していないか、考案の単一性を
満たしているかなど、基礎的要件と方式的要件の審査が行われ、要件を満す場合は
設定登録されます。特許出願における審査請求制度や実体審査がないため、
早期に(2〜3ヶ月程度)考案が保護されます。
また、出願公開制度もありませんが、設定登録後は登録実用新案公報が発行されます。
ヒット商品 『モンカフェ』(片岡物産)の特許による成功事例が
弁理士会のホームページで紹介されています。
→ http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/hits/hits02.html
人気商品は特許により支えられているといいう、成功事例の一つです。
(出典元:日本弁理士会ホームページ 「ヒット商品を支えた知的財産権」)
ヒット商品 『雪見だいふく』(ロッテ)の特許による成功事例が
弁理士会のホームページで紹介されています。
→ http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/hits/hits01.html
人気商品は特許により支えられているといいう、成功事例の一つです。
(出典元:日本弁理士会ホームページ 「ヒット商品を支えた知的財産権」)
●外国特許について
ビジネスの発展には、日本だけではなく外国で特許を取るなど、国際的な知財マネージメントが欠かせません。
ところで、外国特許とは、そもそも何なのでしょう。巷では外国特許、
海外特許、国際特許、世界特許など、似たような名称をよく耳にします。
特許権とはそもそも発明を独占的かつ排他的に使用する権利のことを指します
が、これは国が認めて初めて権利として成立します。
この基本原則は世界のどの国や地域でも同じことです。
つまり、ひとつの国で通常の特許出願を行い、特許が認められた場合、
特許権の効力はその国の中での実施にしか及びません。
この考え方を「属地主義」といいます。ということは、日本で認められた
特許権も、外国では自動的に認められる訳ではないということです。
このようなことから、通常「特許」というと、日本で取った特許を意味
するため、日本以外の国で認められている特許については、これと区別した
言葉が必要となってきます。
そこで日本以外の国から受ける特許を総称して、「外国特許」と呼んでいる
のです。ただし、これは法律用語ではなく、俗称と考えてよいでしょう。
ということは外国特許はかなり幅広いものですね。
アメリカ(米国)で出願して得た特許もヨーロッパ(欧州)、中国、韓国、
香港で出願して得た特許も、すべて外国特許でくくられてしまいます。
ちなみに海外特許という呼び方も、この外国特許と同義で使われています。
なお、国際特許はこれらと異なります。
PCTという特許協力条約に基づいて一つの出願手続で希望する複数の国の
特許を取得するためのものです。